とちぎの百様

うんがんじさま

雲巌寺

八溝(やみぞ)山地の紅葉の名所 芭蕉(ばしょう)も訪ねた

身も心も清(すが)やかに…禅宗の静謐(せいひつ)なる修行道場。

 八溝山地のふところ深く、清らかな渓流に沿う境地に佇む臨済宗妙心寺派の古刹(こさつ)、雲厳寺。ここは出家した僧が集う禅宗の修行道場である。
 
 その由来は、平安時代に京都・永観寺の僧「初叟元和尚(しょそうげんおしょう)」に始まり、鎌倉時代に後嵯峨天皇の皇子、仏国国師(ぶっこくこくし)がこの地に庵(いおり)をつくったことによる。その後、仏国国師は、1283(弘安6)年に鎌倉幕府の執権北條時宗(ほうじょうときむね)の力により、雲巌寺の創始者となった。
 
 山門の正面には、武茂川に架かる朱塗りの反り橋。これを渡って石段を登ると、正面に仏殿、方丈殿が一直線に並ぶ伽藍配置となっている。また境内に俳人松尾芭蕉の歌碑(関連情報を参照)が建てられているが、これは松尾芭蕉が禅の師匠であった仏頂和尚(ぶっちょうおしょう)を偲び、師が修行したこの地を訪れた様子を紀行文「おくのほそ道」に記したことにちなむ。
 
 春の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、一年を通して、息をのむような美しい景色に出会えるこの静かな空間に訪れたなら、誰しも自然と背筋が伸び、清々しい気持ちに誘われるのではなかろうか。この静謐を我らの故郷の誇りと思い、大切に後世へと伝えてゆきたいと願う。

インフォメーション

■雲巌寺
〒324-0213 栃木県大田原市雲岩寺27