とちぎの百様

おおやいしさま

大谷石

帝国ホテルや松が峰教会でも使われた重厚で温かみのある建築材

火に強く、軽く、柔らかい、そんな”いい石”でございます。

 私、宇都宮生まれの大谷石でございます。栃木に住んでいる方は見慣れすぎて気づきにくいかもしれませんが、まちのあちこちに大谷石で造られた石塀や倉庫(石蔵)が見られる風景は、宇都宮近辺を中心とした栃木の風景の特徴と言えましょう。
 
 私の代表的な性質は、まず、“火に強い”。故に倉庫や石釜(ピザ窯など)の素材に最適と言われております。次に、“軽い”。故に建物への負担が少ない石材として、大型の建造物にも用いやすいのでございます。そして“柔らかい”。故に加工がし易く、質感も高いため、建造物の壁面や床などにも使われています。豪奢なホテルやレストランで、私の姿を見かけることもございましょう。
 
 ところであなたは、私の生地にある大谷石地下採掘場跡(巨大地下空間)をご覧になったことはございましょうか?その広さは野球場が一つ入ってしまう大きさで、古代の神殿にもたとえられる幻想的な佇まいを醸し出しているのでございます。近年、神秘的な雰囲気や音響の良さが評価され、コンサートや美術展、演劇、またTVドラマや映画のロケ地としても利用されております。坑内の年平均気温は8℃前後と天然の冷蔵庫でございますので、見学される際は、くれぐれも防寒対策をお忘れなく。