とちぎの百様

あいだみつおさま

相田みつを

「人間だもの」  豊かな感性を言葉と書で表現

愛され続ける心の書を生み出した、足利市生まれの“いのちの詩人”

 私は、足利市の人間です。世間では、書家だとか詩人だとか呼ばれていますが、自分では、書家でも詩人でもないと思っています。ただ、自分の言葉・自分の書をテーマに作品を書き続けてきただけです。
 
 若い頃から足利市で個展を開き、書を発表してきました。しかし、それだけでは生活できません。そこで、足利市のお菓子屋さんの包装紙のデザインや栞の仕事をたくさんさせていただきました。古印最中で知られる香雲堂本店さんや、ミートサブレが有名な虎谷さんの包装紙と栞は、50年以上昔の私が手がけたものです。嬉しいことに現在も、そのまま使われています。
 
 その後、60歳の時に作品をまとめて初めて本を出版しました。「にんげんだもの」という本です。収録されている「つまづいたっていいじゃないかにんげんだもの」や「一生勉強一生青春」などという作品を、もしかしたらご存知でしょうか。「にんげんだもの」は、初めての本でしたから、読者にどう受け止められるか不安でした。ところが、意外にも多くの方に読まれ、現在もロングセラーとなっているのは望外の喜びです。
 
 私の生家は、有名な鑁阿寺のすぐ近くにありました。鑁阿寺は、子どもの頃兄たちとよくセミ採りに行った懐かしい場所です。市内を流れる渡良瀬川にはよく魚釣りに行きました。足利市は自然が豊かな美しい町です。小京都とも呼ばれる足利市にぜひいらしてください。